イカれた男と乗り合わせてしまった男の悲劇?!
(ネタバレなしのレビューですが、特定のシーンに対する言及はあります)
『見知らぬ乗客』
1951年 アメリカ映画 原題:Strangers on a Train
上映時間 101分
監督 :アルフレッド・ヒッチコック
脚本 :レイモンド・チャンドラー チェンツイ・オルモンド
キャスト :ファーリー・グレンジャー ロバート・ウォーカー
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目次
あらすじ
テニス選手であるガイ・ヘインズは、列車の中で見知らぬ男に話しかけられる。
その男はブルーノと名乗り、ガイが上院議員の娘と再婚するため、妻ミリアムと別れたがっていることをなぜか知っていた。
ブルーノはお互いに殺し屋を雇い、ガイがブルーノの父親を、ブルーノがガイの妻ミリアムを殺す、という交換殺人を持ちかける。
ガイはブルーノの提案を無視したが、ブルーノはガイの妻ミリアムを勝手に殺してしまい、ガイに対し、「俺は約束を果たしたのだから、お前も約束通り俺の父親を殺せ」と迫る。
アルフレッド・ヒッチコック監督について
1899年生~1980年没 イギリス(イングランド)生まれ
「サスペンスの神様」とまで言われる映画界のレジェンド。
イギリスでキャリアをスタートし、『暗殺者の家』『バルカン超特急』などの名作サスペンスを生み出し、1939年アメリカに渡り、『めまい』『北北西に進路を取れ』『鳥』『サイコ』などの、今なお語り継がれる伝説的映画を何本も生み出したサスペンス、ホラー界の巨匠。
現代のサスペンス、スリラー作品にも用いられている、観客の恐怖や不安を駆り立てる演出手法の多くは、彼が編み出したものだと言われている。
あのレイモンド・チャンドラーが脚本に関わっている
「男はタフでなければ生きられない。優しくなければ生きている資格がない」
「ギムレットにはまだ早すぎるね」
などの語り継がれる名セリフを生み出した、ハードボイルド小説家レイモンド・チャンドラーがこの作品の脚本に関わっています。
制作中ヒッチコックとチャンドラーはお互い衝突を繰り返し、結局ヒッチコックはチャンドラーとは袂を分かち、チェンチィ・オルモンドとともに共に脚本を完成させることになります。
感想
ブルーノのかなり露骨なストーキング
この作品は言うならばストーカー映画ですが、ブルーノのつきまといかたがかなり露骨で堂々としています。
ガイの妻ミリアムを殺す前のシーンでも、何度もミリアムに気づかれていて、男1人でメリーゴーラウンドやボートに乗ったりしています。
どこからどう見てもあやしい男そのものです。
テニスの観客席で、1人だけボールを目で追っていない男
テニスの観客席で、観客全員がボールの動きを追って首を左右に動かしているのに、1人だけ微動だにせず、じっとガイのほうを見つめる男がいます。
もちろん、ブルーノです。
これは見事な演出だと思いました。
暴走するメリーゴーラウンド
クライマックスで暴走するメリーゴーラウンドの上で格闘するガイとブルーノ。
女性たちは悲鳴を上げていますが、たしかに、あんなスピードでまわるメリーゴーラウンドに自分が乗っていることを想像すると怖すぎます。
メリーゴーラウンドをとめるために勇敢にほふく前進でレバーを目指すじいさんもヒーロー。
ラストまで観た感想
ヒッチコック作品の中ではクオリティは普通。
テンポはよく、退屈することなく最後まで視聴させる力はあるが、特筆すべき点はあまりないという印象でした。
サイコパスストーカー男ブルーノを演じたロバート・ウォーカーは、『暗殺者の家』のピーター・ローレのような唯一無二の存在感こそないものの、なかなかの演技でした。
ヒッチコックのカメオ出演
開始11分、ガイが列車を降りた直後にコントラバスを抱えて乗り込む。
まとめ
尖った魅力はないものの、安定感のある面白さのサスペンス映画でした。
結局ガイはイカれた男と偶然乗り合わせてしまった不運な男でしたが、エンディングは結果オーライと言っていいのでしょうか。
個人的評価 7/10
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