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エロ映画ではない!『満たされたい人妻』をアマプラで見た感想(ネタバレなし)

この映画は邦題やジャケット画像から想像されるようなエロ映画ではなく、一度は人生を諦めた中年女性の失われた恋愛を描いた、成人向け映画です。

(ネタバレなしのレビューです)

満たされたい人妻(字幕版)

『満たされたい人妻』

2021年 フィンランド映画 原題:Odotus 英題:The Wait

監督   :アク・ロウヒミエス

キャスト :インカ・カレン アンドレイ・アレン アク・ヒリヴィニスミ

 

予告編はこちら↓

目次

 

あらすじ

フィンランドの孤島に住むエッリと牧師の夫ミッコ。

ある日ミッコが招いた友人オラヴィは、かつてエッリが特別な感情を抱いていた男性だった。

オラヴィと共に過ごすうちに、エッリの心が理性と情熱のはざまで揺れ動く。

 

この作品を観る上での前提

まず多くのレビューで言われている通り、この映画はエロ男性視聴者向けの成人映画ではなく、真面目に中年の男女の恋愛を描いた作品です。

対象年齢が18歳以上に設定されている通り、エロシーンはありますが、それらのシーンもポルノのように男性視聴者に都合のよい視点ではなく、あくまで美しい映像の中、芸術的な視点で描かれています。

 

感想

冒頭いきなり草むらに寝転んで、マスターベーションをしている主人公の中年女性エッリ。

しかしそれはポルノのような露骨な描写ではありません。

 

主人公エッリについて

主人公の中年女性エッリは顎ががっちりしていてそばかすだらけで、(日本人目線から見ると)あまり美人には見えません。

彼女は女性にしてはかなり無口なほうで、感情を言葉ではなく視線の動きで表すのが印象的です。

 

オラヴィについて

エッリの夫ミッコの友人オラヴィは中年男性ですが、かなりのイケおじです。この作品、あまり美男美女が登場しないので、余計にイケおじに見えます。

フランスのパリに住んでいたというだけあり、普段からおしゃれなジャケットを着こなし、洗練された雰囲気で、会話も知的です。

 

BGMは現代音楽風

BGMはいわゆるわかりにくい現代音楽風で、わかりやすい音楽のアメリカ映画や日本映画ばかり観てきた最近の私にとってはとても新鮮でした。

この現代音楽風BGMが、この映画にヨーロッパ映画らしいアーティスティックな雰囲気をもたらしています。

 

ぼかしがあまりにも残念

序盤、ミッコとオラヴィの中年男性2人が素っ裸で海(湖?)に入るシーンで、性器部分にぼかしが入ります。

日本特有のピントのずれた規制で、このような作品にポルノまがいのぼかしが入ってしまうというのは、あまりにも残念だと思いました。

 

なかなかそういう関係にならない2人

明らかに惹かれ合っているのに、(2人で全裸になって泳いだりもしているのに)なかなかそういう関係に至らないエッリとオラヴィ。

オラヴィが若い女性に手を出したりして、エッリが嫉妬する描写などもありますが、露骨にオラヴィを責めたり、怒ったりしないエッリはとても大人な女性です。

 

なんだかんだ言っても多いエロシーン

「この作品を観る上での前提」の項目で、「真面目に中年男女の恋愛を描いた作品」だと述べましたが、そうは言ってもエロシーンは多く、性交のみならず、マスターベーションのシーンもかなり多いです。

もちろんとは言ってもポルノのように男性の性欲に訴えかけるような表現ではありません。

 

インカ・カレンの素晴らしい演技力

この作品は私が初めて見たフィンランド映画なので、主演のインカ・カレンという女優はもちろん初めて見たのですが、素晴らしい演技だと思いました。

 

「人生に疲れた中年女性感」

これこそがこの作品における彼女の演技の全てだと言ってもよい。日本にも数多く存在する、「人生に希望を抱くことを諦めた中年女性」。

彼女は全編通じてこれを全身で表現しています。

 

フィンランド人は全裸に水に入るのが大好き?

セックスシーンを除いても、登場人物たちが全裸で海や湖に入るシーンが多いのが気になりました。

私はフィンランドの文化にはまったく詳しくないですが、そういう文化なのでしょうか?

 

商業目的の邦題改変について

多くのレビューで批判されているポルノまがいの邦題とジャケット画像については、概ね私も同意見です。

 

昔見た映画で、原題『Ordinary Man(普通の男)』から邦題『変態男』への改変がありましたが、映画の内容に合っていたのはもちろん原題のほうでした。

 

しかしひどい改変だなと思いつつも、この地味~なフィンランド映画、地味~な邦題とジャケット画像だったら観ようと思ったかは疑問で、そう考えるとこの作品を視聴するきっかけという意味においては、「まあいいのかな」という気持ちもあります。

 

しかしよく見たらジャケット画像に「もう欲望を抑えきれない」なんてエロおやじが喜びそうなキャッチコピーがついてますね。

間違いなくそういう映画ではないですから!

 

まとめ

この映画は冒頭でも言及したとおり、エロい成人男性向けのエロ映画ではなく、中年女性の失われた恋愛を描いた成人向けの芸術映画です。

さらにテーマとして、牧師の夫とともに、ずっと自分を押し殺して生きてきたエッリの、自分らしさの解放、というのもあるのかな、と思いました。

日本映画で言えば小津安二郎監督作品のような、淡々とした人間ドラマが好きな方にはおすすめできる作品だと思います。

 

個人的評価 7/10

 

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