2012年の韓国映画「殺人の告白」を元ネタとして作られた、この日本映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」。
ベースとなるテーマは韓国版と同じと言っていいこの作品、気になる韓国版との比較を中心に、レビューしていきたいと思います!
(ネタバレなしの感想です)
『22年目の告白-私が殺人犯です-』
2017年 日本映画 上映時間 116分
監督 :入江悠
原案 :韓国映画「殺人の告白」(2012年)
(キャスト)
曾根崎雅人(自分が殺人犯だと名乗り出た男) :藤原竜也
牧村航(刑事) :伊藤英明
岸美晴(殺人事件の遺族) :夏帆
仙堂俊雄(ニュースキャスター) :仲村トオル
橘大祐(事件の目撃者) :岩城滉一
目次
あらすじ
1995年、殺人の公訴時効が撤廃される前日に起こった、5人を殺害した連続殺人事件。
刑事の牧村(伊藤英明)はこの殺人犯人ともみあう中で、口元に深い傷を負ってしまう。
それから22年、派手なパフォーマンスとともに、自分がその連続殺人事件の犯人だと名乗り出た曾根崎雅人(藤原竜也)という男。
彼は犯人でしか知りえない内容を盛り込んだ告白手記を出版し、その本はまたたく間にベストセラーとなる。
感想
いきなりの「待てこら!」
オープニングが終わってすぐ、いきなりの日本の刑事ものおきまりの「待てこら!」と言いながらの追跡シーン。
「待てと言われて待つわけないだろ」
とのツッコミ待ちでしょうか。
こういうシーンを見るとやはりがっかりします。
報道ステーションを思わせる、ニュース番組のセット
中盤、仲村トオル演じるニュースキャスターが曾根崎雅人にインタビューするニュース番組のシーンがありますが、テレビ朝日のニュース番組、「報道ステーション」そのまんまといった感じのセットです。
正直テレビドラマレベルの演出
別にテレビドラマを下に見ているわけではないですが、この映画の演出はテレビドラマっぽいとは思いました。
殺人をテーマにしているのに漂う緊張感、緊迫感のない空気。
リアリティのなさ。
刑事の牧村、「名乗り出た男」曾根崎、そして「曾根崎は偽物、俺が真犯人だ」と言って2番目に名乗り出た男の3者がそろうテレビ番組でのドタバタ演出から、私はこの映画に、強くテレビドラマ感を感じてしまいました。
エンディングは相変わらずの商業目的のJ-POP
エンディングはもう日本映画では定番となった、作品の雰囲気とまったく関係のないJ-POPが流れます。
韓国版との比較
日本版はSNSで世論を表現
これは公開された時期の違いが大きいですが(韓国版:2012年 日本版:2017年)、日本版では韓国版ではなかった、Twitter(現X)での書き込みで世論を表現するシーンがあります。
日本版は「名乗り出た男」が韓国版のようなスターにはなっていない
韓国版では「私が殺人犯だ」と名乗り出てきた男が、イケメンだからと女性からアイドル的な人気を得ていて、それが観ていて滑稽でもあったのですが、日本版では出版した本がベストセラーにはなったものの、そこまで「スター」という感じではなく、どちらかというと「時の人」という扱いに収まっています。
主人公の刑事のキャラが違う
韓国版の刑事は短気で破天荒な、かなり強烈な個性のキャラでしたが、伊藤英明が演じた日本版の刑事はそれと比べると個性が薄い、普通の人といったキャラです。
日本版は「2番目に名乗り出てきた男」のインパクトが弱い
曾根崎のあとに「曾根崎は金儲け目当ての詐欺師だ。俺が真犯人だ」と言って、2番目に名乗り出てくる男は、日本版韓国版ともに登場しますが、そのインパクト、登場してきたときのワクワク感は韓国版のほうが圧倒的に上です。
日本版にはおバカシーンがない
日本版には韓国版にあった、毒蛇を使って名乗り出た殺人犯を誘拐したり、ボウガンでヘビを撃ち殺したり、ナイフで車のフロントガラスを貫通させたり、といった荒唐無稽なおバカシーンが一切ありません。
まともなのは間違いなく日本版のほうです。
日本版と韓国版の評価
日本版:シリアスな社会派サスペンスだが、クオリティが低い
韓国版:サスペンス+アクション+おバカ映画で欠点は多いがクオリティは高い
まとめ
さて、韓国映画「殺人の告白」、それを元ネタとして制作された日本映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」、2本続けて観てきましたが、アクション+サスペンス的だった韓国版と比較すると、日本版はシリアスな社会派サスペンスでしたが、インパクトやクオリティはイマイチな印象でした。
両方観て比較するのも面白いと思いますね!
(韓国版)
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