やっぱり新キャラなんていらないんだ!ってことですよね~。
(ネタバレはなしですが、作中の特定のシーンに対する言及などはあります)
『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境~ペコと5人の探検隊~』
2014年 日本映画
上映時間 109分
監督 :八鍬新之介
脚本 :清水東
原作 :藤子・F・不二雄
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目次
あらすじ
夏休みのある日、ジャイアンとスネ夫はのび太に、ドラえもんの力を借りてまだ人類が見たことのない魔境を探してこいと命じる。
いつものようにしぶしぶ応じたのび太はドラえもんの道具の自家用衛星のカメラでアフリカを探し始めるが、なかなか見つからない。
そんな中、のび太が拾ってきた犬、ペコが物知りの出木杉くんすら見たことがない、謎の巨神像を発見する。
ドラえもん、のび太、ジャイアン、スネ夫、しずか、いつもの5人+犬のペコの、大魔境を目指す大冒険が始まる。
声の出演
ペコ :小林ゆう
スピアナ姫 :夏目三久
サベール隊長 :小栗旬
原作について
藤子・F・不二雄氏がこの作品を書いたのは1981年で、おそらく作家として一番脂が乗っていた時期だと思われます。
天才的ストーリーテラーの藤子・F・不二雄氏のストーリーテリング能力の真骨頂を堪能できる原作で、すねるジャイアンからの友情復活の流れも素晴らしいですが、なんといっても最後の大仕掛け、「予言」「先取り約束機」「タイムマシン」、この3つを組み合わせて「10人の外国人」を実現するシナリオは、神レベルと言っても過言ではないでしょう。
この映画も素晴らしいですが、シナリオ面に関しては、天才藤子・F・不二雄氏の能力に寄る所が大きいということを前提に、見ていただきたいと思います。
感想
オープニングについて
オープニング曲はおなじみの『夢をかなえてドラえもん』です。
素晴らしいですね。商業目的のJPOPがかかるよりこのほうがずっといいです。
無駄な改変、新キャラ登場がほとんどない
まず最近のドラえもんの映画新シリーズにほとんどある「無駄な原作改変、無駄な新キャラ登場」がほとんどなく、基本的に原作に忠実に作っているのが素晴らしいと思います。
はっきり言って、最近のドラえもん映画の無駄な改変や新キャラは、ただの改悪にしかなっていない場合がほとんどです。
それらと比較すると、この「新・のび太の大魔境」は新キャラと言っていいのは端役のバウワンコの兵士、ブルテリ&バーナードだけなので、改悪にはなっていません。
やはり作画・演出は現代風がよい
私はこの「のび太の大魔境」の原作は何度も読んでいますが、旧作アニメ版は視たことがありません。
しかし最近、「映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城」の旧作アニメ版を視たのですが、はっきり古さを感じました。
原作は今読んでもまったく古さを感じないのに、アニメ版には感じる、というのは、やはり当時のアニメ版スタッフの力量不足でしょう。
旧作アニメ版はジブリ作品のような時代を超えた普遍的価値を持つことはできなかったということで、それならば今作のように現代の作画、演出で、原作に忠実に作ってくれたほうが、今の視聴者にとっては良い作品になると思います。
原作に忠実な名場面の描き方
すねたジャイアンが、勇気を見せてペコを救いに行った結果、5人+ペコの友情が復活する、ドラえもん映画の中でも屈指の名場面。
ここは原作はセリフなしなのですが、それを忠実に再現しているのは本当に素晴らしい。
ここで演出を改変してしまうと、あの感動は得られませんからね~。
巨大さを感じさせる巨神像の動き
クライマックスで登場する巨神像はこの作品ではCGで描かれているのですが、CG特有の違和感がなく、そしてなによりも動きが巨神像の巨大さを感じさせる動きをしていて、「やはり日本のアニメーター、わかってるな~」と感心してしまいました。
以前見たハリウッド版ゴジラ映画の「ゴジラVSコング」のコングの動きが、ゴジラと同じくらいのサイズの設定なのにあまりにも速すぎて、「いや、そのサイズの生物に、その動きは無理でしょ」とつっこみを入れながら観ていましたが、このドラえもん映画、巨神像の動きの表現に関しては「ゴジラVSコング」に勝ってますよ。
エンディングについて
エンディング曲はKis-My-Ft2の『光のシグナル』です。
作品には合っていませんが、まあ映画を作る際にこういうタイアップも必要、という大人の事情もありますので、まあ良しとしましょう。
まとめ
神レベルの原作に忠実に、現代の視聴者に合わせた作画と演出で作られたこの作品。
本当に素晴らしく、期待以上の出来でした。
子供はもちろん大人でも十分に楽しめる作品ですので、ぜひ親子で楽しんでいただきたいと思います!
個人的評価 9/10(10点中9点)
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