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【傑作】Netflixアニメ『ブルーアイサムライ』を観た感想・レビュー(ネタバレなし)

何気に目にしたYahooニュースの記事をきっかけに知ったこのNetflixアニメ作品。

あまり期待せずに観てみた先にあったのは、「傑作」でした。

(ネタバレなしのレビューです)

Blue Eye Samurai (Mizu Suite)

『BLUE EYE SAMURAI/ブルーアイ・サムライ』

2023年 Netflixアニメ

全8話 各話の長さ:35~62分

年齢制限 18歳以上

原案   :アンバー・グリーン マイケル・ノイズミ

監督   :ジェーン・ウー

声の出演 :マヤ・アースキン ジョージ・タケイ マシ・オカ ブレンダ・ソング

 

目次

 

あらすじ

江戸時代の日本を舞台に、白人と日本人の混血、碧眼の女性剣士ミズが、自分の呪われた人生を生み出した白人の父親を殺すため、復讐の旅に出る。

 

主人公ミズの設定

白人男性と日本人女性の混血で、青い目を持つということで「怪物」と呼ばれ、差別を受け続けて育ってきた女性。

男性の刀鍛冶を仮の姿として生き、青い目を隠すために常に色眼鏡をかけている。

表情は極めて乏しく、感情を露わにすることはほとんどない。

 

感想

衝撃的なバイオレンス描写

最初のシーンから容赦ない強烈な暴力描写が光ります。

 

暴力描写の前に衝撃的なのが、両手のない蕎麦屋の男の描写。

両手がなくても悲壮感などまるでなく、手のない腕を起用に使って蕎麦を作っています。

 

そして主人公の登場。

主人公ミズは笠を目深にかぶり、丸いサングラスのような眼鏡をかけています。

そしてあまりにゲスな女衒の男に対し、正義の鉄槌をふるう、とここまではよくある展開ですが、そこからが衝撃的です。

銃を突きつける女衒に対し、刀ではなく蕎麦屋の包丁で指を2本切り落とす!

ヤクザ映画顔負けの展開です。

 

日常的に刃物を持ち歩いている時代なのだから、これくらい暴力的なのがリアルなのであって、日本の大河ドラマや歴史アニメがいかにヌルいか、ということを我々に思い知らせてくれる、衝撃的なシーンでした。

 

とにかく戦闘シーンがめちゃかっこいい

殺陣シーンは実際のアクションアクターの動きを元に作られていて、非常にリアル。

漫画がベースになっている日本のアニメの(悪い意味ではなく)空想的なアクションシーンとはまったく違うもので、とてもかっこよく、ワクワクします。

振付師のアクションのベースはカンフーであり、それが動きが日本的ではない、という一部の批判につながっていますが、私の意見は

かっこよく、観ている人が気持ち良ければそんなことはどうでもいい

です。

 

絵はリアル系

外国(アメリカ、フランス)制作のアニメだけあって、人物の絵はリアルないわゆる日本人顔という感じで描かれています。

主人公の白人と日本人の混血の女性であるミズも、特別美形には描かれてはいません。

そのリアルな日本人顔のキャラが英語ばかり喋るので、最初は違和感がありますが、すぐに慣れます。

 

隕石として降ってきた謎の金属で刀を作る、という胸熱展開

ミズの持っている青白く輝く刀は、ミズの師匠であり育ての親の刀鍛冶の男とミズが一緒に拾った、隕石として降ってきた謎の金属で作ったもの。

鉄より硬い謎の金属で作られた最強の刀、という、ロマンあふれる設定です。

 

もう一人の主人公「アケミ」

「青い目のサムライ」として圧倒的な存在感を放つ主人公のミズですが、この物語にはもう一人の主人公がいます。

それが、将軍家に娘を嫁がせようと試みる領主の娘、アケミです。

アケミは現代よりはるかに男尊女卑の社会の中でも、鳥かごの中の鳥のような境遇の中でも、その強い意志で自由を手に入れるために、危険も顧みずに行動する、ミズとはまた違う形で強い女性です。

 

男性的な方法で戦うミズに対し、アケミは時には女性ならではの武器も駆使し、自らの道を切り拓いていきます。

男性的なミズと女性的なアケミ、強く美しい2人の女性の対比も、この作品の見どころの1つです。

 

「和」を意識した音楽も秀逸

特に戦闘シーンでの音楽が秀逸。

私が過去に聴いた中では、ゲーム『ウィッチャー』シリーズの戦闘シーンの音楽を想起させる緊張感を感じられ、かつ和楽器を上手く使い「和」の雰囲気を上手く出している音楽だと思います。

思わぬシーンでふいに日本語の古い歌を挿入してくるセンスもすごい。

 

日本の自然の描写も美しい

このアニメは冬の雪景色の中から始まり、やがて春になりますが、日本の美しい自然の風景が、本当に美しく描かれています。

雪の一粒一粒から、波しぶき、そして春には桜の花びらが舞い落ちる様など、制作スタッフたちは、日本人よりも日本の美しさを知っているのではないか、と思わせる映像です。

 

聞き取りやすい英語なので、リスニング教材としても優秀

これは作品のレビューとは言えないかもしれませんが、英語音声がアメリカの実写映画や実写ドラマよりはるかに聞き取りやすいです。

これはアメリカの映画やドラマが、基本的に英語ネイティブのアメリカ人向けに作っているのに対し、このアニメは全世界の英語非ネイティブの人に向けて作っているからだと思われます。

聞き取りやすい英語なので、英語リスニング教材としても優秀です。

 

続編の存在を感じさせつつ終わる最終話

最終話のラストは映画なででもよくある、続編を期待させる終わり方でした。

そのまま続編が出なかった作品も多数ありますが、この『ブルーアイ・サムライ』はすでにシーズン2の制作が決定しているそうです!

 

第51回アニー賞に6部門ノミネート

「アニメーションのアカデミー賞」呼ばれるアニー賞

日本のメディアは相変わらず日本作品の「君たちはどう生きるか」と「すすめの戸締り」がノミネートされたことしか報じませんが、この「ブルーアイ・サムライ」は6部門にノミネートされています。

 

8. Best TV/Media - Mature (14歳以上向けテレビ作品賞)
11. Best FX - TV/Media  (テレビ作品アニメーション効果賞)
13. Best Character Animation - TV/Media (テレビ作品キャラクター・アニメーション賞
23. Best Production Design - TV/Media (テレビ作品美術賞
29. Best Writing - TV/Media  (テレビ作品脚本賞
31. Best Editorial - TV/Media  (テレビ作品編集賞

こちらの6部門にノミネート。

 

ちなみに「君たちはどう生きるか」と「すずめの戸締り」は長編アニメーション作品部門で、「ブルーアイ・サムライ」はテレビ作品部門ですので、日本の2作品と賞を競い合う、ということはありません。

どの部門で受賞するか楽しみです。

授賞式は2024年2月17日の予定です。

 

第51回アニー賞の結果

2024年2月17日(現地時間)、第51回アニー賞の授賞式が行われ、この「ブルーアイ・サムライ」はノミネートされた6部門全て受賞しました

TV作品部門においては、もう圧倒的といっていい評価の高さでしたね。

 

まとめ(暴力シーンがどうしても苦手な人以外は絶対観るべき傑作)

さて、まとめですが・・・。

とりあえず「傑作」です!!

個人的には今まで観たNetflixオリジナル作品の中でナンバーワンかも。

アニー賞6部門受賞も納得の傑作でした。

暴力シーンは強烈ですので、苦手な方にはおすすめしませんが、そうでない方は絶対観るべき!!

 

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サウンドトラック

Blue Eye Samurai (Soundtrack from the Netflix Series)