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【緊迫の電話劇】映画『ギルティ』オリジナル版とリメイク版を徹底比較!

電話から聞こえてくる音だけを頼りに事件を解決しようとする警察官の姿を描いた、このワンシチュエーションサスペンス映画『ギルティ』。

画面に映し出されるのはほぼ主人公の顔だけ、という地味さながら、巧みな演出と脚本の力によって、ぐいぐいと映画に引き込まれてしまうこと間違いなしのこの作品、先に観るならどちらがいいのか

デンマークで制作されたオリジナル版と、Netflix映画のリメイク版を徹底比較してみました!

(ネタバレなしのレビューです)

ギルティ

目次

 

映画『ギルティ』のデータ

オリジナル版

2018年 デンマーク映画 原題:Den skyldige 英題:The Guilty

監督   :グスタフ・モーラー

脚本   :グスタフ・モーラー エミール・ニゴー・アルバートセン

キャスト :ヤコブ・セーダーグレン

 

リメイク版

2021年 アメリカ映画(Netflix映画) 原題:The Guilty

監督   :アントワーン・フークワ

脚本   :ニック・ピゾラット

キャスト :ジェイク・ジレンホー

 

あらすじ(オリジナル版とリメイク版共通)

捜査中のトラブルにより現場を外され、緊急通報司令室で通報を受けるオペレーターをしているアスガー(リメイク版ではジョー)は、現場に復帰する日を目前にしていた。

そんな中、彼は今まさに誘拐されようとしている女性からの電話を受け、電話から聞こえてくる音の情報だけを頼りに、事件を解決しようとする。

 

両方観た感想

いわゆるワンシチュエーションものの映画で、映画がほぼ2部屋のみで完結しているというところは、名作『12人の怒れる男』を想起させますが、あちらは12人の男の会話劇だったのに対し、『ギルティ』は画面に映るのはほぼ主人公の顔だけ、という、会話劇、というより「電話劇」という印象です。

 

オリジナル版は特に、ですが、視聴者が画面から得られる情報はほとんど変わらない(ほぼ主人公の顔だけ)にも関わらず、音の情報だけでどんどん映画に引き込まれていく演出はまさに圧巻。

 

終盤、主人公(と視聴者)が信じてきた世界が崩壊する、どんでん返しのある脚本も秀逸です。

 

オリジナル版とリメイク版を徹底比較

舞台設定

オリジナル版の舞台はデンマークコペンハーゲン

リメイク版はアメリカ合衆国のロサンゼルスが舞台となっていて、リメイク版ではロサンゼルスで今まさに山火事が起きている、というオリジナル版にはない設定があります。

 

オープニングの比較

真っ黒な画面から電話の着信音がなり、オペレーターである主人公のヘッドセットのアップから始まるおしゃれかつ簡素なオリジナル版のオープニング。

 

それに対し、山火事が起きているロサンゼルスの街をヘリコプターが飛ぶシーンから始まるリメイク版は、やはり私たちが慣れ親しんだハリウッド的演出です。

 

オリジナル版は本当にストイックな演出

普通のサスペンス映画同様、視聴者の緊張感を煽るような音楽がかかったり、パトカーの映像がインサートされたり、オーソドックスでわかりやすい演出のリメイク版に対し、オリジナル版は劇中音楽がかかることもなく、受信室以外の場面のインサート映像もなく、本当に音は電話の音だけ、映像は9割がた主人公の顔だけ、という徹底したストイックな演出です。

しかしだからこそ、視聴者は主人公と一体になり、電話から聞こえてくる音だけに神経を集中する、という没入感を味わうことができます

 

設備はリメイク版のほうが圧倒的に豪華

映画が公開された時期(オリジナル版:2018年 リメイク版:2021年)と国の違い(オリジナル版:デンマーク リメイク版:アメリカ合衆国)もあるでしょうが、主人公が使用するディスプレイなどの設備は、リメイク版のほうが圧倒的に豪華な印象です。

 

リメイク版では主人公の家族が深く影響してくる

リメイク版の主人公は現在妻と別居していて、娘がいるが、なかなか電話もさせてもらえない、という設定があります。

主人公のスマホの待ち受け画面には娘の写真があり、それが映画の中で何度も表示されます。

リメイク版では主人公が妻で電話するシーンが何度かあるのに対し、オリジナル版では主人公が同僚に家族は出ていったと告げるだけの描写となっています。

 

主人公が感情的すぎるリメイク版

オリジナル版の主人公もカッとなるシーンはありますが、基本的にはそれほど感情の起伏は激しくありません。

それに対してリメイク版の主人公はやたらと感情的になり、大げさなまでにわめき散らすキャラとなっています。

通報者に"Fxxk"、"Axxhole"などと暴言も吐きまくります。

 

オリジナル版の特徴

  • 簡素な演出が逆に緊張感と没入感を生んでいる
  • 淡々とした展開、演出
  • 主人公はほぼ無表情、リメイク版と比べると感情表現は乏しい
  • 劇中音楽がないが、それが視聴者を聞こえてくる「音」に集中させ、リアリティを生んでいる
  • ヨーロッパ映画らしい、淡々とした、ドライなラストシーン

 

リメイク版の特徴

  • 親しみやすい演出
  • 主人公が感情的になりやすい性格
  • オリジナル版と比べて、主人公の家族愛の描写が多い
  • オリジナル版と違い、劇中音楽があり、わかりやすい演出
  • オリジナル版と比較するとドラマティックなラストシーン

 

まとめ(先に観るのはどちらがいいか)

オリジナル版とリメイク版、演出は違えど、脚本の大まかな流れはほぼ同じ、ということで、この秀逸な脚本を真に楽しめるのは最初の1回だけ、という、ミステリー的な要素のある映画です。

 

ここから先は主観ですが、どちらを先に観るのをおすすめするか、と聞かれたら、私ならオリジナル版をおすすめします

 

劇中音楽もない、非常に淡々とした演出で、日本映画やハリウッド映画に慣れた目には、わかりにくい演出だと感じるかもしれませんが、だからこそ、主人公同様に、聞こえてくる音に意識を集中しているうちに、映画にどんどん引き込まれていく、という没入感を味わうことができるでしょう。

 

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