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【素敵すぎる感動作】Netflix映画『パレード』の感想・レビュー(ネタバレなし)

最近充実してきた感のある、日本制作のNetflixオリジナル作品。

そこからまた良作が生まれました。

震災で亡くなるも、残してきた息子への未練から、生と死のはざまにある不思議な世界にとどまってしまった長澤まさみ演じる美奈子。

彼女を中心に、”その先”に行けずにいる様々な人々を群像劇で描く素敵な感動作。

この感動の物語のレビューを、ネタバレなしで書いていきます!

 

『パレード』

2024年 日本映画(Netflix映画) 上映時間 132分

監督   :藤井道人

脚本   :藤井道人

音楽   :野田洋次郎

 

目次

 

あらすじ

震災による津波にさらわれ、気づくと砂浜に打ち上げられていたシングルマザーの美奈子。

息子の安否が気になり、避難場所の人々に話しかけるも、誰も美奈子の存在に気づいてくれない。

唯一美奈子に声をかけてくれた青年の車に乗り、案内された先は、すでに亡くなっているが、生前の世界に何らかの未練があり、”その先”に行けずにとどまっている人達が集まる不思議な世界だった。

 

登場人物

美奈子 長澤まさみ

本作の主人公。

7歳の息子を持つシングルマザー。

テレビ局の記者として働いていたが、震災により35歳で亡くなった。

 

アキラ 坂口健太郎

生と死のはざまにあるような不思議な世界を、記録に残そうとしている青年。

生前は小説家志望だった。

 

マイケル リリー・フランキー

生前は映画プロデューサー。

学生運動に参加していた過去がある。

実質主人公と言ってもいいほどの存在感を見せる。

 

勝利 横浜流星

生前はヤクザだった若い男。

生前事実婚状態にあった女性に心残りがあり、”その先”に行けずにいる。

 

かおり 寺島しのぶ

生前はスナックママだった女性。

残された家族に心残りがある。

 

ナナ 森奈々

いじめが原因で自殺を図った女子高生。

 

田中 田中哲司

元銀行員の男性。

 

タイトル『パレード』の意味とは

タイトルになっている「パレード」とは、月に一度、新月の夜に、”その先”に行けずにいる人たちが行進し、それぞれの会いたかった人たちを捜すことを意味します。

人々がランタンを持って行進する「パレード」のシーンは、野田洋次郎の音楽も相まって、とても美しく描かれています。

 

感想

お涙頂戴ではない感動作

この映画は一応震災をテーマにした感動作ですが、テーマはそれだけではなく、様々なテーマを内含した群像劇に近い作りになっています。

日本で感動作を作ると、どうしてもお涙頂戴路線に行きがちですが、この『パレード』という作品はそうではなく、お涙頂戴シーンはあるにはありますが、そこには行きすぎず、どちらかと言えば「ほっこり心が温まる」といった感じの感動作です。

 

開始30分のところで非常に地味なオープニングタイトル

最初の「パレード」が描かれ、美奈子が”その先”に行けずにいる人達に少しだけ心を許して、乾杯したところで右下に小さく「The Parade」のオープニングタイトル。

忘れたころにやってくる、非常に地味なオープニングタイトルです。

 

苛立ちを息子にぶつける美奈子の回想シーンがいい

序盤の美奈子の回想シーン。

そこで描かれるのは、夫婦喧嘩や、美奈子が苛立ちを息子にぶつけるシーン。

息子との楽しかった思い出だけではなく、こうしたシーンが描かれることで、美奈子のシングルマザーとしてのリアルな生活が浮き彫りになってきます。

 

圧倒的な存在感のリリー・フランキー

主役である長澤まさみを食ってしまいそうな存在感のリリー・フランキー

彼にしか出せない独特な空気、雰囲気、そして笑い所。

彼の出演シーンはどれも見どころたっぷりです。

 

名画『カサブランカ』を観ているマイケルの昔の恋人

リリー・フランキー演じるマイケルが、完成した映画のフィルムを昔の恋人に渡しに行くシーン。

そこでマイケルの昔の恋人である麻衣子が、ハンフリー・ボガートイングリッド・バーグマン主演の名作映画、「カサブランカ」を観ているのが印象的です。

カサブランカ」はイングリッド・バーグマン演じるイルザの心が、ハンフリー・ボガート演じるリックと、もう一人の男性、ラズロとの間で揺れ動く、というストーリー。

結局リックはイルザとの愛よりも使命を選択し、イルザはラズロについていくのですが、麻衣子は本当に好きだった男性と結ばれることができなかったイルザを、自分と重ねているのかもしれません。

 

次第に家族のようになっていく人間関係の描き方がよい

新入りとして”その先”に行けない人達のグループに入る、長澤まさみ演じる美奈子。

そして中盤から仲間入りする、森奈々演じる女子高生のナナ。

どちらも最初は「なにこの変な集団?」みたいな感じで仲間に入ろうとはしませんが、次第に打ち解けて仲間になっていく、その描き方がとてもいいです。

そしてその家族のような集団の中心にいるのは、やはりリリー・フランキー演じるマイケルです。

 

舘ひろしが特別出演

後半、名俳優、舘ひろしがあるシーンで特別出演しています。

短いですが、印象的なシーンです。

 

主題歌は野田洋次郎の「なみしぐさ」

この映画の音楽担当は、ロックバンドRADWIMPSのソングライター、野田洋次郎です。

主題歌(エンディングテーマ)は彼が書いた「なみしぐさ」。

RADWIMPSではなく、「野田洋次郎」名義の曲です。

野田洋次郎らしい、しっとりとしたバラードナンバーとなっています。

 

まとめ

さて、Netflixオリジナル映画『パレード』。

日本制作のNetflixオリジナル作品も、最近本当に充実してきましたね。

豪華キャストで描かれるこのファンタジー人間ドラマ。

日本映画にありがちな、お涙頂戴展開に頼ることなく、胸にほっこりとした感動を生んでくれる、素敵な映画でした。

最近の映画にありがちな、殺伐としたシーンも暴力シーンも一切ないので、週末の夜に家族で観るのもおすすめの作品です!

 

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