墓参りをしてたらいきなりリビングデッド(生ける屍)が襲い掛かってきた!
現在でも根強い人気があるホラー映画の1ジャンル、ゾンビ映画の原型となった作品と言われるこの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」。
展開の早さ、低予算の密室劇ながら視聴者を引き込む演出術、そして黒人男性がヒーロー、という特徴を持つこのホラー映画。
観る価値はあるのか、それとも所詮は昔の映画なのか。
ネタバレなしでレビューしていきます!
1968年 アメリカ映画 原題:Night of the Living Dead
上映時間 96分
監督 :ジョージ・A・ロメロ
脚本 :ジョン・A・ルッソ
キャスト :デュアン・ジョーンズ ジュディス・オーディア
目次
あらすじ
父の墓参りに墓地にやってきたバーバラとその兄は、突然リビングデッド(生きる屍)となった男に襲われた!
兄を殺され、命からがらたどり着いた民家に避難したバーバラ。
バーバラは先にその家に逃げ込んでいた黒人青年のベン、そして地下室に隠れていた数名の人物と共に、生き残る手段を模索し始める。
登場人物
バーバラ (白人女性 兄が死んでショック状態にある)
ベン (黒人の青年、現実的かつ行動的な性格)
トム (地元の白人の青年、温和だが勇敢)
ジュディ (トムの恋人の女性)
ハリー・クーパー (白人の中年男性、神経質で感情的な性格)
ヘレン・クーパー (ハリーの妻、夫よりも冷静で思慮深い性格)
カレン・クーパー (ハリーとヘレンの娘、ケガをしている)
リビングデッドの設定
- 人肉を食する
- 火を恐れる
- 脳を破壊すれば殺せる
- リビングデッドに噛まれた人間もリビングデッドになる
感想
ワクワクさせられるシンプルなオープニング
オープニングは現代の映画のような凝った演出はまったくなく、不気味な音楽が流れる中、田舎道をひたすら乗用車が走る、という映像。
極めてシンプルな演出ですが、「これから怖い物語が始まる」という気持ちにさせてくれる、素晴らしいオープニングです。
ホラー展開になるまでが、驚くほど早い
現代のホラー映画だと、尺稼ぎなのか肝心のホラー展開になるまでに延々と人間ドラマをやっていることが多いですが、この映画、リビングデッドが登場してホラー展開になるのは、開始から6分半ほど経過したところで、めちゃくちゃ展開が早いです。
昔の映画は90分くらいが平均的な時間だったので、尺稼ぎの必要がないということもあるでしょうが、それにしても展開の早さに驚かされます。
最初に出てくるリビングデッドがまったくゾンビっぽくない
冒頭、まだ明るい中でいきなり登場するリビングデッド。
現代人の我々が想像するゾンビと違い、肌もただれていなければ動きが遅いわけでもない、かなり普通の人間に近い外見と動作です。
しかし車に避難した主人公に襲い掛かるリビングデッドは、シンプルに怖いです。
その後に登場するリビングデッドたちは動きも遅く、ふらふらと歩いていて現在まで続くゾンビのまさに原型、という感じがします。
最初のリビングデッドの俊敏さは一体なんだったんだろう・・・。
黒人男性がヒーロー
1960年代、まだアメリカにおける黒人の社会的地位が低かった時代。
その時代に、反ハリウッド志向だったジョージ・A・ロメロ監督は、黒人男性をこの映画の主人公に設定しました。
そしてその黒人男性ベンを演じた俳優デュアン・ジョーンズは、とてもハンサムでかっこいいです。
女性があまり能動的ではない
これはアルフレッド・ヒッチコック監督の「鳥」でも同じで、おそらく当時の時代背景によるものだと思われますが、能動的に行動するのが男性ばかりで、女性は基本的に男性に言われるがまま、ということが多いです。
現代の映画ならばそんな描写は許されず、むしろ女性が前面に出て、頼りない男性をリードする、という場面が出てくるはず。
美味そうに人肉を食らうリビングデッドたち
最初の犠牲者が出たあと、リビングデッドたちが死体に群がり、美味そうに人肉を食するシーンがあります。
白黒の映像で、現代の映画と比べるとあまりショッキングではありませんが、リビングデッドたちが人の内臓を美味そうに食べているシーンは、なかなかにインパクトがあります。
1968年公開当時観た人にとっては、かなり衝撃的なシーンだったことでしょう。
ラストは意外な展開に
ホラー映画のラストシーンの定番と言えば、全てが解決し、平和になったと思わせておいて、最後の最後に怖いことが起こる、というあの演出ですが、この映画はまだそのテンプレートができる前の映画。
ホラー映画では、最後は主人公1人だけが生き残る、というのも定番ですが、この映画では意外な展開になります。
まとめ
現在においてもホラー映画の1ジャンルとして、根強い人気を保ち続けているゾンビ映画。
その原型となったとも言われるこの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」のレビュー、いかがでしたでしょうか。
50年以上前の白黒映画とはいえ、展開が非常に早く、約1時間半、観る者を退屈させずに見続けさせる力を持った映画でした。
この映画の意外な結末は、ぜひあなた自身の目で確かめてみてください!
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