世界的大ヒットNetflixドラマ『ストレンジャーシングス』で一躍名をはせた女優、ミリー・ボビー・ブラウンが主演するNetflixオリジナルファンタジー映画『ダムゼル/運命を拓きし者』。
ドラゴンのいけにえに捧げられる姫、彼女を救い出すのは・・・!
期待以上の面白さだったこのファンタジー映画、その面白さを、詳細に解説していきたいと思います!
(若干のネタバレがあります)
『ダムゼル/運命を拓きし者』
2024年 アメリカ映画(Netflix映画) 原題:Damsel
上映時間 107分
推奨年齢 13歳以上
監督 :ファン・カルロス・フレスナディージョ
脚本 :ダン・マゾー
目次
あらすじ
飢饉に苦しむ北の国の王女「エロディ」。
彼女は豊かな国、アウレア王国のヘンリー王子との結婚が決まり、新しい生活に期待と不安を抱いていた。
婚姻の儀式のあと、エロディはアウレア王家の伝統の儀式を行うため、溪谷の橋の上に連れられてくる。
その伝統の儀式とは、他国の王女をドラゴンのいけにえに捧げることだった。
登場人物
エロディ/ミリー・ボビー・ブラウン
飢饉に苦しむ北の国の王女。
民を救うため、アウレア王国の王子であるヘンリーと結婚することになる。
ベイフォード卿/レイ・ウィンストン
エロディの父。
娘がドラゴンのいけにえに捧げられることを知りながら、娘をアウレア王家に嫁がせる。
レディ・ベイフォード/アンジェラ・バセット
エロディの継母。
継母ながら娘たちを実の子のように思っている優しい女性。
ヘンリー王子/ニック・ロビンソン
アウレア王国の王子。
根は悪い人間ではないが、母であるイザベル女王には逆らえない。
イザベル女王/ロビン・ライト
アウレア王国の女王。
アウレア王国の最高権力者。
フロリア/ブルック・カーター
エロディの妹。
姉のようなたくましさはなく、女性的な性格。
タイトルの「ダムゼル」ってどういう意味?
「ダムゼル」は英語で書くと「Damsel」。
「乙女」や「若い未婚の女性」を意味する言葉です。
西洋の物語の型として「Damsel in distress」というものがあり、苦境にある乙女を王子様などが救出する、おとぎ話などによくある物語の典型的な型のことです。
古くはギリシャ神話における、美女アンドロメダを救い出す、英雄ペルセウスの物語。
そして主人公ルークが囚われのレイア姫を救出するというストーリーの『スターウォーズ』第一作も、典型的な「Damsel in distress」です。
さて、本作『ダムゼル/運命を拓きし者』がどういう話かいうと、もちろん「Damsel in distress」などではなく、「Damsel/乙女」である主人公エロディが、自らの力で「Distress/苦境」を切り抜ける、そういう意味を込めてこのタイトルを付けたのだと思われます。
感想
冒頭、いきなりのドラゴン戦
オープニング、王らしき男性と十数人の兵士が洞窟の中でいきなりのドラゴンとの戦闘。
ここではドラゴンの姿は明らかにはなりませんが、巨大かつ圧倒的に強いということははっきりわかります。
ドラマ版『ウィッチャー』のシーズン1に出てきたしょぼいドラゴンとは明らかに違い、これはかなり期待できるドラゴンです。
美術は悪くないが、CGに頼りすぎ感も
城や風景などは大部分がCGだと思われます。
悪くないのですが、時折ゲームの映像のように見えるシーンもあります。
ファンタジー世界には微妙にハマっていないミリー・ボビー・ブラウン
本作では北国のお姫様役のミリー・ボビー・ブラウン。
19世紀のイギリスを舞台に、名探偵シャーロック・ホームズの妹を演じたNetflix映画『エノーラ・ホームズの事件簿』ではかなり役にハマっていた彼女ですが、本作ではどうか。
ビジュアルも演技(表情の作り方など)も、アメリカンガールという感じ(彼女はイギリス人なのだが)がして、ファンタジー世界には微妙にハマっていない印象のミリー。
欧米制作のファンタジー作品特有の重苦しい雰囲気は一切なく、どうも本格ファンタジーというよりはおとぎ話感が否めません。
部屋を暗くして視聴することを推奨
欧米作のファンタジーではよくあることですが、特にドラゴンの洞窟のシーンなど、画面が暗すぎて部屋が明るいと何をやっているのか全然わかりません。
部屋を暗くして視聴することをオススメします。
中盤は主人公エロディのサバイバルが描かれる
物語中盤、異国の王子様と結婚し、幸せな日々が訪れるはずが、ドラゴンのいけにえに捧げられてしまう主人公エロディ。
強すぎるドラゴンに対して戦う術はなく、そこから先はひたすらエロディのサバイバル物語になります。
残酷描写などはありませんが、エロディの脚の傷は見ててけっこう痛そうです。
開始約70分でついにドラゴンがその全貌をあらわに!
開始約70分のところでオープニングのドラゴン戦の内実が語られ、ついにドラゴンがその姿をあらわにします。
かっこいいのですが、想像よりもスリムで、スマートな印象のデザインです。
爬虫類感はほとんどなく、中国の伝説上の動物の「麒麟(きりん)」のようなデザインですね。
顔はかなり怖く、流暢に英語をしゃべります。
ドラゴンの倒し方に説得力がある
ちょっと前まで剣を握ったこともなかったお姫様が、独力で、しかも剣1本でドラゴンを倒してしまったらどうしようかと思っていましたが、なるほどという倒し方で、説得力がありました。
それにしても主人公エロディはちょっと強すぎだとは思いますが。
痛快すぎるラストシーン!
最後の最後は見ている者全てが(よほどのひねくれ者でない限りは)こうなって欲しいと思っていたであろう展開に!
これぞエンタメ!これぞ娯楽映画!
娯楽映画はやはりこうでなくては!
現代風のおとぎ話
この作品を最後まで観た感想は、これは『ウィッチャー』や『ゲーム・オブ・スローンズ』のような本格ファンタジーとは全く異なる、「現代風のおとぎ話」だという印象です。
女性が救われるのではなく、自ら苦境を乗り越え英雄になる、という物語は、伝統的なおとぎ話の型「Damsel in distress」に対するアンチテーゼ感もあります。
まとめ(期待以上の面白さ!)
Netflixオリジナル映画、ということで、あまり期待せずに観ましたが、107分の上映時間が短く感じるほど面白いファンタジー映画でした!
強すぎる主人公など、つっこみどころはありますが、そこは娯楽映画ということで目をつむりましょう。
「細けえことはいいんだよ!」とばかりに細かい粗は無視して突き進み、100%エンタメに振り切った快作と言えるでしょう。
Netflixに加入している方には、絶対おすすめのエンターテインメント映画です!!
視聴はNetflixで!!
(関連記事)
・ドラマ版『ウィッチャー』には何が足りないのか~Netflixドラマ『ウィッチャー』シーズン3を見た感想
・映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』を観た感想(ネタバレなし)
・【傑作】Netflixアニメ『ブルーアイサムライ』を観た感想・レビュー(ネタバレなし)
・【素敵すぎる感動作】Netflix映画『パレード』の感想・レビュー(ネタバレなし)
・【大ヒットSF小説のドラマ化】Netflixドラマ『三体』の感想・レビュー
超人気ファンタジードラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の原作小説
Netflixドラマ『ウィッチャー』の原作小説